11月の東京に雪が降ったきょう。歩く人に追い越されるのでは?と思うほど遅々として進まない電車に
気をもんだものの、「54年ぶりの雪」と聞くと、人生初という付加価値がついて、
車窓の外の雪を眺めたくもなる気分。
来年刊行予定の本の「紙」について、京橋紙業さんにお話を伺いに行った。
紙の販売を専門とする、紙問屋さんだ。
通常は、紙については印刷会社に相談するのだけれど、
ふと、以前「紙の勉強会」に参加させて頂いた京橋紙業さんのことが浮かび、
相談にのって頂いたというわけ。
絵本をつくるとき、どの紙を使うかは、いつも悩む。
というか、自分が気になっていることをはっきりと言語化できないモヤモヤ感に悩む。
紙のサンプルがズラリ並んだペーパーショールームで、非常に丁寧に、紙について教わった。
とりわけ「どちらの紙を使うか迷ったら、ぜひ紙を触ってみてください。
こちらの紙は冷たいんですよ。こちらは、ほら、冷たくない」というアドバイスは、
ズドーンと腹に響いた。
原画の魅力をできるだけそのまま「本」にするためにはどうしたらいいか考える時、
色の再現性や風合いばかりに頭がいってしまう。でも大事なのはそれだけじゃない。
「何て表現すればいいかわからない気がかりなこと」のひとつが、紙の「温度」だったことに、
気づかせてもらった。
まだ紙の注文をしたことがない私なのに、こうして教えて頂いたり、アドバイス頂くことは、
心の底からありがたい。そして、いつかは教えてもらうばかりじゃなくて、小さい書房と仕事して良かったと思われる
対等な関係になりたいと思う気持ちが、自分のエネルギーになっているような気がする。
京橋紙業さん、きょうは本当にありがとうございました。