グラフィックデザイナーの重鎮 長友啓典さんが永眠された。
突然の訃報以来、
長友さんが、小社刊行1冊目の著者になってくださってからのこの3年を、ふりかえっている。
お会いして最初のころ、長友さんから「あびこさん」と呼びまちがわれたことがあって、
「ああ、ごめんごめん」と藤子不二雄Ⓐさんが(本名)安孫子さんなもんだからと笑って言われた時、
長友さんのような大きな方と仕事ができる幸運を、不思議にさえ感じた。
長友さんとの出会いがなかったら、小さい書房の進む道はずっと険しいものになっていたと思う。
その後新刊を出すたび「本日発売しました」のご報告を添えて送ると、必ずはがきで感想をいただいた。
そのお気遣いには、毎回深く感動した。
だから長友さんが編集長の雑誌『クリネタ』の名物アンケートに答える時は、毎回ものすごく考えた。
字数制限でほんの200字の原稿だったけれども、超えないよう注意しながら、時間をかけて書いた。
告別式では、ずっと心の中でお礼を言い続けた。
最も悲しい日ではあるけれども、長友さんの優しさを思い、
だからこそ私はもっと頑張らなくてはと、気持ちを新たにする機会になった。
長友さん、本当にありがとうございました。